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４月	（杉田久女俳句大会）	７月	筒鳥の深山に響く声幽か	10月	人去りて夜の公園蚯蚓鳴く	１月	初鶴の声澄み渡る銀世界
	泥ぶちの観音様や赤蜻蛉		夕凪や航路に夕日照り返す		山霧の晴れ間に彩る杉木立		願かけてウイルス除けやどんど焼
	蚕霊揚げ実り多しや豊の秋		通り雨菅笠濡らしひとり旅		密になり浮かれ気分の秋祭		初茜カツプル染むる恋路ヶ浜
			大瑠璃の囀る枝に朝日かな		草原の綿毛に隠る鶸一羽		カーテンが開くや飛び立つ寒雀
			敷き詰めてホテルの池や蓮の花		秋惜しみ愛宕街道ひとり旅		張り替えの襖明るし古屋かな
			浜茄子の花を辿るや伊良湖岬		白帝の城の堀なる木曽川ぞ		炭焼の煙に明くる山の朝
５月		８月	樫鳥の縅毛よりも声凄し	11月	酒匂川高麗の鴨追いかくる	２月	渓流に忍者のごとし河烏
			露草の水滴光る宇宙かな		人恋いて里に下りし北狐		春めくと心から言へる世の中に
			コロナ禍に離れ見上ぐる盆の月		小春の日壁の白さを眩しめり		群れる鳥流氷寄せるオホーツク
			街路樹の椋鳥騒がする塒入り		よくもまあこんな処へ姉羽鶴		小綬鶏の誘ふ山道怖ず怖ずと
			刈穂して初体験の稲架を掛く		菜園に生ゆるものなし冬の朝		椿咲くあんこの島に別れかな
			新盆に孫子で送る浄土かな		コロナ禍やGo Toなしに冬籠		煙むたきや行く道塞ぐ野焼あり
６月	村の子が掛けし巣箱に仏法僧	９月	浜鴫の群れ飛ぶ磯や光りをり	12月	水揚げの港騒がす冬鴎	３月	琵琶湖にて再来誓ひ鳥雲に
	雪解川三筋に落つる滝しぶき		鱗雲南下する鳥急き立つる		過疎の村休耕田の霜白し		トラクター揺るる蒲公英そつと避け
	月見草蕾のままで宵を待つ		秋の暮琵琶湖に赤き夕日かな		縁側で日差しを浴ぶる冬うらら		花冷の風に襟立てくさめ顔
	雷鳥にエール送られ雄山越ゆ		啄木鳥のドラムの響き恋の歌		梟の窓越し覗く北の宿		岩燕泥を重ねてマイホーム
	公園の人影消ゆる夕焼雲		北の国白樺の森鹿駆くる		疫病の流行りし年を煤払		人多し貝も隠るる汐干狩
	硫黄島祈りの献花南吹く		駅の外屋台が誘ふ夜寒かな		除夜の鐘遠くに聞いて床に入る		潮引かば海面碧に海苔の粗朶